私より一回りも若い、川ガキの先輩。

出会ったのは6~7年も前ですが、そのことから川に潜り、ヤスで魚を突く事にかけては大人顔負けの腕前でした。私が竿を出しても魚影すら見えないポイントでも、彼が潜ると、必ずといっていいほどヤスの先に魚が刺さっているという、釣り人泣かせの少年でした。

 

しばらく会う機会がありませんでしたが、釣友である彼のお父さんから夏休みで帰省している事を聞いていたので、ある作戦を実行すべくタイミングをうかがっていたところ、今日、うん年ぶりに彼に会うことになり、その作戦を実行してきました。

 

作戦と言うよりも、要は、私は潜れないので、潜りの得意な彼に魚を見つけてもらおう。そして、あわよくばその魚を突いてもらおうというもので、気になって気になって仕方がなかったあの大淵に一緒に行ってもらいました。

 

ウォーミングアップを兼ねて、川におりてすぐの淵をのぞいて見るも、いるのはヨシノボリばかり。

「ヨシノボリばっかりだね~」と私が言うと、「このカジカみたいのはヨシノボリって言うんですか~」と彼。イワナがいる上流域が専門の彼にとっては、中流は未知の世界だったようです。

 

それでも、白泡のたつ流れでアユを見つけると、息を殺してじわりじわりと距離を詰め、一部始終を私が見ている前で突いてくれました。体が大きくなっても、笑顔はあの時と同じでした。

 

以前は、海パン一丁で潜っていた彼も、お父さんからのお下がりのウエットを着たことと、部活で鍛えた体力で潜水時間も依然と比べほどの無いくらい長くなっており、水上で待つ私の方が「えっ、まだ上がって来ないの???」と緊張するほどで、大きな魚を見つけたときは、狭い石の下に体を半分以上突っ込んでいました(汗)

 

歩くにつれ、最初はうるさくなかったアブたちがブンブン言い始め、数十匹に取り囲まれ耐えかねず潜っていても、水面直下まで羽音が聞こえてくるほどでした。そして、寒さをこらえて泳いでいると、徐々に水深が深くなり、すぐに5mはあろうかというドン深になりました。

 

川幅は5~6mしかないので、増水時の水圧がものすごい事が容易にうかがえます。私はライフジャケットを着けて浮かんでいますが、それでも足が全く届かないので恐怖感が常にあります。川ガキの先輩はというと、ライフジャケットなんか着ていたら潜ることができないので、もちろん着けていません。普段は「川に行くときはライフジャケットを」と話しているので、少し複雑な気持ちです。

 

そうしている内に、目の前にすごいものが!!

ヒゲでも付けたら竜と間違うほどの岩が現われ、その脇を悠々と巨鯉の群れが悠々と泳いでいます。

「鯉じゃないのがいる」という声に、違う方向に目を向けると、ちょっと菱形の銀色ボディーのサクラマスが泳いでいました!

 

やっと見つけました。

しばらく二人で見とれた後、一度だけ突きに向かいましたが、すごいスピードで四方に散られいなくなってしまいました。

それでも、狙い通り確認することができたのでミッション終了。

もう一つ先に大本命のポイントがありましたが、雨雲が近づいてきていたので、そこは次のお楽しみにと、アブに追われながら退渓しました。